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物語

「お迎えにあがりました。瑞希お嬢様」
木南 瑞希
「どうして、私の名前を……?」

それに、迎えにきたって……どういうことだろう。

木南 瑞希
「あなたは誰?」
「俺はお嬢様のおじい様の家で働いている者で
旭といいます」
木南 瑞希
「祖父の……?
それは、母方のですか?」
「いえ、お嬢様のお父様の父に当たる方です」
木南 瑞希
「お父さんの……」

お父さんのことは、
亡くなっているということ以外
よく知らなかった。

お母さんがお父さんについて
あまり語りたがらず、私も無理に聞こうとは
しなかったからだ。

だから、まさか父方の祖父の家の人だなんて
思わなかった。

「お嬢様のおじい様……南条辰蔵様は、
お身体の調子が悪く、このたびお嬢様のお迎えに
くることがかないませんでした」
「ですが、辰蔵様はあなたがお母様を
亡くされたと聞いて、ぜひあなたを
引き取りたいとおっしゃっています」
「一度、辰蔵様のいらっしゃる雨月村へ
お越しいただき、辰蔵様にお会いして
いただけないでしょうか」

……雨月村。
聞いたことのない地名だ。

妖——旭さんは、私の返事を待つように、
跪いたまま微動だにしない。

どうしたらいいんだろう。

初めて聞く祖父の存在。

突然現れた、これから祖父の家で
暮らしていくという選択肢。

頭の中が混乱して、整理がつかない。
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